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・『地球の歩き方 ベトナム』(ダイヤモンド社、1994年3月初版、2010年7月改訂第16版第1刷)
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海外旅行ガイドブックの定番『地球の歩き方』です。
定番だけあって、極端なはずれはなく、概ねオーソドックスなものとなっています。
サイズも持ち歩きに丁度良く、写真のようにクタクタになってしまいます。欠点はというと、地図が現地語表示ではないため、指差しによって現地の人との意思疎通ができないということなどでしょうか。
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・『ワールドガイド ベトナム アンコールワット』(JTBパブリッシング、2007年8月)
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とくにあたりさわりがなく、かといって使いやすいわけでもないガイドブックです。
利点は文字が大きくて見やすい位でしょうか。編修はポイントをついていますが、若干荒めで、他のガイドブックと補完関係にあるわけではありません。
ちなみに表紙の右下に「大判MAP付き」とありますが、フエの大判MAPがないことは、すべてのガイドブックに共通しています。
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・『いい旅・街歩き10 ベトナム』(成美堂出版、2007年8月)
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全体的な配列もよく、見て楽しいガイドブックとなっています。
見取図が充実しており、帝廟の見取図があったり、フエ市街地図が最も充実しています。地図は現地語に対応しているので、現地の人に道を聞く際にはこの地図を指差ししていました。
他に阮朝王宮の見取図が『地球の歩き方』よりも詳しいのはこの『いい旅・街歩き』だけでした。
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・『まっぷるマガジン ベトナム アンコールワット』(MAPPLE、2009年7月)
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『まっぷるマガジン』は他のガイドブックよりも大判なので、見て楽しいものですが、2009年版のフエの項目はわずか3頁ほどしかなく、翌年の2010年版にいたってはさらに削られてしまっています。
これも『いい旅・街歩き』同様、フエ旧市街の地図が詳しいのですが、前者に比べると、地図上の情報はやや少なくなっています。
ちなみに、ホンチェン殿が『大南一統志』に多くある祠のうち、どれに該当するかわからなかったのですが、この『まっぷるマガジン』に「ホンチェン祠堂(玉盞山祠)」とあることによって、ホンチェン殿が『大南一統志』に「玉盞山神祠」とあるものと同じであることが判明したということがありました。
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・『わがまま歩きツアーズ ベトナム アンコールワット』(ブルーガイド、2008年6月)
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『地球の歩き方』に近い、一般的なガイドブックなのですが、コンテンツに独自なものが多く、フエ関係ではターオム庭園屋敷・円形競技場(虎園)・温泉を紹介しています。
ブルーガイド社には他に『わがまま歩き30 ベトナム』(ブルーガイド、2010年1月)がありますが、こちらは『ワールドガイド』より少しましな程度で、フエに関して言えばそれといった特徴があるわけではありません。
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・『ロンリープラネットの自由旅行ガイド ベトナム』(メディアファクトリー、2003年10月初版、2008年7月第2版)
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『地球の歩き方』が海外旅行ガイドブックの定番とするなら、それと最も正反対の方向にあるガイドブックが『ロンリープラネット』です。
写真がほとんどなく、モノクロの地図の他はひたすらに文字だらけ。しかも情報は必ずしも正確・新鮮ではない。それにもまして『ロンリープラネット』の情報量は、他のガイドブックに比べると群を抜いており、独自記事が多いのです。
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『KIEN TRUC CO DO HOE』(Nha Xuat Ban Da Nang、2009)
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ヴェトナム語表記ができないので、単にローマ字で書いていますが、正しい表記は写真の通りです。
フエ空港に売っていたガイドブックで、ヴェトナム語と英語表記となっています。すべての帝廟に見取図がついており、非常に便利です。
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『PHA THUAN AN HUE -La Citadelle et ses Palais-』(THE GIOI,2007)
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これもヴェトナム語表記ができないので、単にローマ字で書いていますが、正しい表記は写真の通りです。
やはりフエ空港に売っていたガイドブックですが、こちらはヴェトナム語表記のみとなっています(副題はフランス語ですが…)。
この本は古写真が多く掲載されており、戦災焼失前の阮朝王宮の様相を知ることができます。
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・石澤良昭・生田滋『世界の歴史13 東南アジアの伝統と発展』(中央公論社、1998年12月)
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中公の「世界の歴史」シリーズの一冊で、カラー図版が多いので、見ているだけでも楽しいものです。
フエに関する記述は必ずしも多くありませんが、ある程度ポイントがおさえられています。この他にも肥塚隆編『世界美術大全集 東洋編12・東南アジア』(小学館、2000年12月)、布野修司編/アジア都市建築研究会執筆『アジア都市建築史』(昭和堂、2003年8月)も眼を通していたのですが、いずれもフエへの期待が広がりました。
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・石井米雄・桜井由躬雄編『新版世界各国史5 東南アジア史1大陸部』(山川出版社、1999年12月)
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山川の「新版世界各国史」の一冊です。記述は中公「世界の歴史」よりも内容がかたいのですが、参考文献があげられており、有益でした。
阮朝に関する記述は比較的多い方です。
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・小倉真男『物語 ヴェトナムの歴史-一億人国家のダイナミズム』(中公新書、1997年7月)
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中公新書の「物語 ○△×の歴史」の中の一冊ですが、新書であるにもかかわらず、強烈にマニアックです。
参考文献があがっているものの、その記述のいくつかは出典が確認できないことがあるのですが、ヴェトナム通史を理解するのに非常に便利な一冊です。
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・伊東照司『ベトナム仏教美術入門』(雄山閣、2005年8月)
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著者は東南アジア関係の美術の書籍を多く出している人です。
この『ベトナム仏教美術入門』は図版が多数あり、しかも記述が平易なので、わかりやすいものとなっています。ただし記述内容は建築・仏像・碑文(の一部)に限られています。
前述した肥塚隆編『世界美術大全集 東洋編12・東南アジア』(小学館、2000年12月)にもある程度ヴェトナムの仏教美術に関する記述がありますが、本書よりも少なくなっています。
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・石井公成編集委員『新アジア仏教史10 朝鮮半島・ベトナム 漢字文化圏への広がり』(佼成出版社、2010年5月)
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佼成出版社「新アジア仏教史」の中の一冊です。朝鮮半島とベトナムが合わさって一冊となっていますが、全400頁ほどのうち、ベトナムはわずかに50頁ほどです。
しかも朝鮮半島はカラー図版が多用されているのに対して、ベトナムはすべてモノクロ図版となっています。前版の中村元他編『アジア仏教史 中国編W 東アジア諸地域の仏教〈漢字文化圏の国々〉』(佼成出版社、1976年3月)の方が要点が押さえられて、かえってよかったのかもしれません。
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大南寔録は阮朝の欽定史書で、全548巻。
各皇帝の「寔録(本紀)」の後ろに、臣下の列伝が付属しています。慶應義塾大学言語文化研究所が影印本を刊行しています(全20冊)。
前に述べた『大南一統志』は、先行する『大南会典事例』のいわばダイジェスト版の役割もあるのですが、この『大南会典事例』もまた『大南寔録』のインデックスの役割があるので、『大南寔録』を根本史料とし、『大南一統志』で補完、あるいは現地の碑文を読んでいました。
もちろん白文ですが、漢文としては比較的詠みやすい部類に入ります。ただしヴェトナム独特の用法があり、例えば、1寸はおよそ4cm、「砌」は石造の意、「未入流書吏」とは文人の雇用人など、その時は意味が通じなくて困ったときもありました。
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『大南一統志』は阮朝の地誌で、嗣徳18年(1865)に『大清一統志』を模して編纂され、嗣徳35年(1882)に一旦完成しましたが、その後も増補が行なわれ、成泰18年(1906)に完成、維新3年(1909)に刊行されました。松本信広編纂『大南一統志(全二冊)』(印度支那研究会、1941年3月)に影印されています。
その記述対象は風土や気候、都城や学校、田賦や山川、古蹟・祠廟・陵墓・寺院・道観、関所や港、橋や市場など広範囲にわたっています。『大南一統志』の巻之1は「京師」としてフエ旧市街の記述にあてられており、巻之2・3・4は「承天」(上・中・下。うち巻之3は「人物竝土産上」、巻之4は「土産下」)として、トゥアティエン・フエ省全域をカバーしています。
底本はパブリック・ドメインとなっており、国立国会図書館のウェブサイト「近代デジタルライブラリー」(http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1044097)にデータがあります。
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