附録 引用史料

寺社縁起・寺誌


大安寺伽藍縁起并流記資財帳
○撰者:大安寺の三綱
○成立期:天平19年(747)
○底本:竹内理三編『寧楽遺文』中巻(東京堂、1962年9月)
○概略:大安寺三綱が僧綱に提出した縁起資財帳。舒明天王による百済大寺建立、天武天皇による高市への移転と大官大寺の改称などの縁起、仏像・経典・食封・出挙稲・墾田などの資財が記載される。
〔本文〕


法隆寺伽藍縁起并流記資財帳
○撰者:法隆寺の三綱
○成立期:天平19年(747)2月
○底本:竹内理三編『寧楽遺文』中巻(東京堂、1962年9月)
○概略:法隆寺三綱が僧綱に提出した縁起資財帳。推古天皇と聖徳太子による法隆寺建立などの縁起、仏像・塔本具・金剛力士・舎利・経律論疏などの資財が記載される。
〔本文〕


西大寺資財流記帳
○撰者:僧綱と西大寺三綱・衆僧
○成立期:宝亀11年(780)
○底本:竹内理三編『寧楽遺文』中巻(東京堂、1962年9月)
○概略:西大寺の資財帳。全4巻(巻1のみ現存)。縁起・縁起・堂塔・仏像・経律論疏・楽器・衣服といった西大寺の資財が記載される。
〔本文〕


興福寺流記
○撰者:
○成立期:平安時代末期頃
○底本:『大日本仏教全書128 興福寺叢書第一』(潮書房、1931年4月)
○概略:諸記録をもとに興福寺の堂舎・仏像などを記した書。全1巻。文中の「山階流記」は、天平記・宝字記・延暦記の名で興福寺の縁起流記資財帳の逸文を引用しており、古代興福寺に関する根本史料。ただし諸本の錯簡が多く、護国寺本『諸寺縁起集』所載の「興福寺縁起」と併せて利用されることが多い。なお近年、校訂本(谷本啓「校訂『興福寺流記』(一)」)が出たが未完。
〔本文〕


叡岳要記
○撰者:不明
○成立期:鎌倉中期頃
○底本:『群書類従』第24輯(続群書類従完成会、1932年)
○概略:比叡山延暦寺の寺誌。上下二巻。堂塔の成立・由来・沿革、諸高僧の略伝・事蹟、寺の儀式を記述する。
巻上巻下


山門堂舎記
○撰者:不明
○成立期:鎌倉・室町前期頃
○底本:『群書類従』第24輯(続群書類従完成会、1932年)
○概略:比叡山延暦寺の寺誌。全1巻。堂塔の成立・由来・沿革、諸高僧の略伝・事蹟、寺の儀式を記述する。
〔本文〕


九院仏閣抄
○撰者:杲鎮
○成立期:元亨4年(1324)筆録、永徳3年(1383)伝写
○底本:『群書類従』第24輯(続群書類従完成会、1932年)
○概略:比叡山延暦寺の諸堂記録。全1巻。天台宗梶井流に相承伝受された記録・故実を口述筆記したもの。叙述にあたっては一々その出典を明らかにする。
〔本文〕


太元帥法縁起奏状
○撰者:
○成立期:平安時代中期
○底本:『大日本仏教全書』116(仏書刊行会、1922年6月)
○概略:法琳寺・太元帥法に関する奏上文、式を集成した記録集。
〔本文〕


興福寺官務牒疏
○撰者:不明
○成立期:嘉吉元年(1441)
○底本:『大日本仏教全書』118(仏書刊行会、1914年)
○概略:興福寺による末寺の書上と縁起。全1巻。偽撰説も根強い。
〔本文〕


正法山誌
○撰者:無著道忠(1653〜1744)
○成立期:未詳
○底本:『妙心寺誌』(東林院、1938年4月)
○概略:京都妙心寺の寺誌。全10巻。妙心寺史の基本文献で、伽藍・人物・塔頭・主要末寺・書画・詩文・規矩等を収録する。現在でも川上孤山『妙心寺史』と並んで妙心寺派の全容を知る基本的資料である。
第一巻第二巻第三巻第四巻第五巻第六巻第七巻第八巻第九巻第十巻


正法山殿堂略記
○撰者:無著道忠(1653〜1744)
○成立期:未詳
○底本:『妙心寺誌』(東林院、1938年4月)
○概略:京都妙心寺の堂宇記録。全1冊。
〔本文〕


壬生寺縁起
○撰者:
○成立期:元禄15年(1702)刊
○底本:『続群書類従』27上(続群書類従完成会、1925年11月)
○概略:京都壬生寺の縁起。全3巻。霊験譚を中心に記述される。



大雲寺縁起
○撰者:賢慶(1518〜?)
○成立期:天正17年(1589)。もととなった古本縁起は11世紀末から12世紀初頭成立。
○底本:『続群書類従』27上(続群書類従完成会、1925年11月)
○概略:京都岩倉大雲寺の縁起。全1巻。古本縁起を略述したもので、「大雲寺諸堂記」を付す。
〔本文〕


仏国寺事蹟
○撰者:
○成立期:慶暦6年(1046)撰(仮託)、康熙47年(1708)石刷
○底本:韓国学文献研究所『韓国寺志叢書第11輯 仏国寺誌(外)』(亜細亜文化社、1983年11月)
○概略:韓国慶尚北道慶州郡外東面の吐含山南麓にある仏国寺の縁起。一巻。正式には『新羅国東吐含山華厳宗仏国寺事蹟』。一然(1206〜89)撰とするが仮託。康熙47年(1708)石刷奥書によると載粛が著し、仏国寺の聖教が女真族の兵火によって失われたため、仏国寺の事跡を後昆に知らしめることを目的として同本を刊行したとある。
〔本文〕


仏国寺古今創記
○撰者:
○成立期:嘉慶十年(1805)以降
○底本:韓国学文献研究所『韓国寺志叢書第11輯 仏国寺誌(外)』(亜細亜文化社、1983年11月)
○概略:韓国慶尚北道慶州郡外東面の吐含山南麓にある仏国寺の寺誌。一冊。正式には『慶尚道江左大都護府慶州東嶺吐含山大華厳宗仏国寺古今歴代諸賢継創記』。『仏国寺古今歴代諸賢継剏記』とも。仏国寺歴代の重建・重修を記していく。文章構成は、基本的に編年的に綱文の後に引用史料を付載するもの。豊臣秀吉の朝鮮出兵の兵燹の後は仏国寺の堂宇の再興とその化主を記し、これ以降は必ずしも編年ではなく、仏国寺の末寺ごとに掌握する。
〔本文〕


通度寺事蹟略録
○撰者:不明。「西天指空和尚為舎利袈裟戒壇法会記」は釈瑚撰。
○成立期:天順4年(1460)刊行。「西天指空和尚為舎利袈裟戒壇法会記」は泰定5年(1328)成立。
○底本:韓国学文献研究所『韓国寺志叢書第5輯 通度寺誌』(亜細亜文化社、1983年)
○概略:韓国慶尚南道梁山郡にある霊鷲山通度寺の寺誌。1冊。6編で構成され、@通度寺舎利袈裟事蹟略録、A舎利霊異、B袈裟稀奇、C寺之四方山河裨補、D西天指空和尚為舎利袈裟戒壇法会記、E跋となる。@は慈蔵による通度寺を創建縁起。A・Bは舎利・袈裟の不思議な作用を伝える。Cは長生標を主題として通度寺の寺領に関して記される(高麗時代の寺領経営の実態を示す貴重な史料として著名)。Dは印度僧指空が通度寺を訪れ、盛大な法会を営んだことを記す。この@〜Dのうち、記述年代の確実なのはDのみで、泰定五年(1328)に釈瑚の筆による。本書は写本と刊本が知られるが、刊本には天順4年(1460)九月に「伝書」、万暦8年(1580)9月に「移書」、万暦37年(1609)3月に通度寺に所蔵することを願って通度寺に安置されたのを底本として崇徳7年(1642)九月に重書開刊したとある。旗田巍「通度寺の『事蹟記』について」(『朝鮮学報』61、1971年10月)にモノクロ写真とともに紹介されたほか、韓国学文献研究所『韓国寺志叢書第5輯 通度寺誌』(亜細亜文化社、1983年)に影写されている(底本は同じではない)。
〔本文〕


梵魚寺剏建事蹟
○撰者:不明
○成立期:康熙39年(1700)刊行
○底本:韓国学文献研究所編『韓国寺志叢書14 梵魚寺誌』(亜細亜文化社、1989年6月)
○概略:韓国釜山広域市金井区にある梵魚寺の寺誌。1冊。
〔本文〕


海印寺事蹟
○撰者:(多数)
○成立期:康熙元年(1662)、最終的に大正4年(1915)
○底本:
○概略:韓国慶尚南道陜川郡伽耶面緇仁里に位置する海印寺の寺誌。1冊。もとは康熙元年(1662)版行されたものらしいが、海印寺の寺史・大蔵経印経に関する海印寺雑板(高麗大蔵経以外の諸経板)を印経して収集したもの。この内寺誌といえるものは「伽耶山海印寺古籍」「海印寺留鎮八万大蔵経開刊因由」くらいである。崔致遠撰の「海印寺善安住院壁記」「順応和尚讃」「利貞和尚賛」「贈希和尚」、重修に関する「重修記」「海印寺事籍碑」「海印寺失火蹟」「海印寺重修記」、大蔵経印経に関する「印経跋文」「印成大蔵経跋」「印成大蔵経跋」「印成大蔵経跋」「印経事実」「印経跋文」「印大蔵経跋」がある他、「完文」「慶尚道観察使完文」のように前欠のため意味が通じないものも少なくない。
〔本文〕



僧伝・燈史


故僧正法印大和尚位真雅伝記
○撰者:(真雅の門弟ら)
○成立期:寛平5年(893)
○底本:長谷宝秀編『弘法大師伝全集』10(六大新報社、1935年3月)
○概略:真雅(801〜79)の伝記。1巻。真雅の伝記には他に『日本三代実録』(巻35、元慶3年正月3日癸巳条所引)真雅卒伝があり、同書はこれに先立って弟子等によって編纂され、「真雅卒伝」の基となったもの。本書は誤りもあるものの、「真雅卒伝」に省略された空海への入門、参内時期、貞観寺建立と堂宇・子院を知ることができる重要史料。
〔本文〕


法琳寺別当補任
○撰者:
○成立期:貞応3年(1224)
○底本:『続群書類従』4下(続群書類従完成会、1927年7月)
○概略:法琳寺別当の補任次第。全1巻。
〔本文〕


三国仏法伝通縁起
○撰者:凝然(1240〜1321)
○成立期:応長元年(1311)
○底本:『大日本仏教全書』第101冊(佛書刊行会、1913年2月)。ただし句読点、節などは『国訳一切経和漢撰述部 史伝部18』(大東出版社、1962年12月)に準拠した。
○概略:印度・中国・日本における仏教諸宗の創起伝通を概説したもの。上・中・下三巻。上巻に毘曇・成実・戒律・三論・涅槃・地論・浄土・禅・摂論・天台・華厳・法相・真言の十三宗について由来、所依経典などを列記し、中・下巻は大日本国諸宗伝通の章とし、三論・法相・華厳・倶舎・成実・律・天台・真言の八宗、禅宗と浄土宗を述べる。
巻上巻中巻下


入唐五家伝
○撰者:賢宝(1333〜98)
○成立期:延文2年(1357)
○底本:『続群書類従』第8輯(経済雑誌社、1904年10月)
○概略:平安時代の五人の入唐僧恵運・宗叡・常暁・真如・円行の、特に入唐・帰朝の事跡を中心とした伝記史料集。一巻。個別に伝えられていた史料を一巻にまとめたもので、今日では他にみることのできない史料が含まれており貴重。
〔本文〕


東大寺円照上人行状
○撰者:凝然(1240〜1321)
○成立期:正安4年(1302)
○底本:『続々群書類従』第3巻(国書刊行会、1907年9月)
○概略:円照(1221〜77)の伝記。全3巻。
巻上巻中巻下


鷲峰開山法灯円明国師行実年譜
○撰者:聖薫
○成立期:
○底本:『続群書類従』9上
○概略:無本覚心(1207〜98)の伝記年譜。全1巻。願性の筆録や、慈願上人の撰述した縁起、無本覚心の平素所持した記録、護国紀などを参照して編年体によって記述している。
〔本文〕


越之中州黄竜山興化護国禅寺開山勅諡仏林恵日禅師塔銘
○撰者:華岳建冑(?〜1470)
○成立期:寛正4年(1463)
○底本:『続群書類従』9下(続群書類従完成会、1927年7月)
○概略:恭翁運良(1267〜1341)の塔銘及び序。全1巻。
〔本文〕


円通大応国師塔銘
○撰者:滅宗宗興(1310〜82)
○成立期:応安5年(1372)
○底本:『続群書類従』9上
○概略:南浦紹明(1235〜1309)の塔銘。全1巻。
〔本文〕


孤峰和尚行実
○撰者:河南聖珍
○成立期:正平17年(1362)
○底本:『続群書類従』9下(続群書類従完成会、1927年7月)
○概略:孤峰覚明(1271〜1361)の行状。全1巻。
〔本文〕


正法山六祖伝
○撰者:雪江宗深(1408〜86)・東陽英朝(1428〜1504)
○成立期:文明年間(1469〜87)、明応5年(1496)
○底本:萩須純道『正法山六祖伝訓註』(思文閣出版、1979年2月)
○概略:妙心寺開山関山慧玄から第六祖雪江宗深にいたる六人の伝記で、「正法山妙心禅寺記」を末尾に付す。全1巻。初期妙心寺史の根本史料。このうち「妙心関山玄禅師伝」「正法山妙心禅寺記」は雪江宗深撰で、残りは門下の東陽英朝の筆になる。
〔本文〕


仁和寺御伝(群書類従本)
○撰者:尊海(1472〜1543)序
○成立期:文亀4年(1504)、群書類従本は書き継ぎされ、延宝6年(1678)の性承示寂までを記す。
○底本:『群書類従』第5輯(続群書類従完成会、1932年10月)
○概略:仁和寺歴代の御室の年譜。全1巻。心蓮本・真光本、顕証本、宮内庁書陵部本などがあり、『仁和寺史料』寺誌篇2に収録される。
〔本文〕


扶桑禅林僧宝伝
○撰者:高泉性敦(1633〜95)
○成立期:延宝3年(1675)
○底本:『大日本仏教全書』109(有精堂出版部、1933年12月)
○概略:近世までの禅僧の伝記集成。全10巻。大規模な僧伝としては近世最初のもので、以後、僧伝・燈史の編纂を活発させるなど影響を与えた。
序・目次・表巻第一巻第二巻第三巻第四巻第五巻第六巻第七巻第八巻第九巻第十


延宝伝灯録
○撰者:卍元師蛮(1627〜1710)
○成立期:延宝6年(1678)脱稿、宝永3年(1706)上梓
○底本:『大日本仏教全書』108・109(有精堂出版部、1933年12月)
○概略:近世までの禅僧の伝記集成。全41巻(うち目録1巻)。禅僧の行状・機縁の語を収録したもので、30年以上の歳月を費やして史料を蒐集、完成させた。中世以来の禅僧の伝を記すのみならず、多元的に日本に伝来した禅の伝燈系譜を明らかにする意図があった。卍元師蛮は『本朝高僧伝』の編者でもある。
(データ未完)巻第二巻第三巻第六巻第八巻第十巻第十一巻第十五巻第二十巻第二十三巻第二十八巻第二十九巻第三十


日域洞上諸祖伝
○撰者:湛元自澄(?〜1699)
○成立期:元禄7年(1694)刊
○底本:『大日本仏教全書』110(仏書刊行会、1914年7月)
○概略:曹洞宗禅僧の僧伝。全2巻。曹洞宗僧伝の最初のもので、曹洞宗の禅僧70人の伝をおさめる。
序・総目録巻之上巻之下


重続日域洞上諸祖伝
○撰者:蔵山良機(?〜1729)
○成立期:享保2年(1717)
○底本:享保2年(1717)刊
○概略:曹洞宗禅僧の僧伝。全4巻。徳翁良高撰『続日域洞上諸祖伝』が、『元亨釈書』に比肩せんとしてはるかにおよばなかったことを嘆き、幾度も増訂を重ねたが、本懐ならず遷化した。蔵山良機は奮起して師の意志を継ぎ、本書を撰述した。曹洞宗禅僧90余人の伝をおさめる。
序・目次巻第一巻第二巻第三巻第四






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