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通政使司はかつて京城（フエ旧市街）の南東、国史館の東側に位置した官房である。通商を司った。
もとは商舶公庁といったが、明命13年（1832）に戸部の所属となり、庁の建物は大理寺のものとなった。紹治5年（1845）に大理寺が別の場所に移ると、通政司として復活し、官として通政使・通政副使が設けられた（『大南一統志』巻之1、京師、官署、通政使司）。六部と都察院・大理寺・通政使司は九卿と称され、阮朝の官制において重要な地位をしめた（『大南一統志』巻之1、京師、官署、吏部）。
嘉隆年間（1802～19）初頭、外国より国書などが届けられて京城に到ると、すべて兵部の郵政司がこれを照らし合わせてから諸官に送った。明命15年（1834）にはじめて通商専門の役所として六部印官1名が設けられたが、その通商業務が終わると撤廃された。成泰5年（1893）には漕政司が兼任して左都堂を造築して入居した。成泰8年（1896）には瓦家1棟を建て、成泰15年（1903）に修理を行ない、護城衙の地に移った（『大南一統志』巻之1、京師、官署、通政使司）。護城衙の地は国史館・都察院が立ち並ぶ官衙地帯であった。通政使司・国史館・都察院のいずれも現存しない。
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京師図・『大南一統志』巻1より通政使司部分（松本信広編纂『大南一統志 第１輯』〈印度支那研究会、1941年3月〉44-45頁より転載。同書はパブリック・ドメインとなっている）。「護城」とある部分が通政使司。
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