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国史館は京城（フエ旧市街）内の東南の富文坊に位置する官房である。名称の通り、国史を編纂する部門であり、ここで『大南寔録』の編纂事業が実施された。
官員は総裁と副総裁がおり、定員はない。他に纂修4名、編修8名、考校4名、謄録6名、収掌6名がいる（『大南一統志』巻之1、京師、官署、国史館）。
明命元年（1820）6月に国史館が建造された。国史・寔録（実録）の編纂のためであった（『大南寔録正編』第2紀、巻之3、聖祖仁皇帝寔録、明命元年6月条）。明命2年（1821）には明命帝（位1820～41）が国史館に行幸し、中央に御座門、前方に下馬碑、左右堂が建立された。また同時に六部堂門の扁額がつくられた（『大南寔録正編』第2紀、巻之8、聖祖仁皇帝寔録、明命2年3月甲寅条）。
紹治2年（1842）に左長廨4棟を増設し、塀を限って職員の住居とした。嗣徳2年（1849）、国史館の後方に蔵板堂を建設している。国史館の庭前の右側に井戸があり、水は極めて清く甘かったという。言い伝えによると衍派社の古井であるという。（『大南一統志』巻之1、京師、官署、国史館）
成泰元年（1889）に右長廨を都察院の職員の住所とした。成泰2年（1890）堂・旗を造築し、正堂の後方と前方左側を再度修理し、左長廨を撤去した（『大南一統志』巻之1、京師、官署、国史館）。
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京師図・『大南一統志』巻1より国史館部分（松本信広編纂『大南一統志 第１輯』〈印度支那研究会、1941年3月〉44-45頁より転載。同書はパブリック・ドメインとなっている）。中央の「史館」とある場所が国史館。
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