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悲田谷道は比叡山延暦寺東塔へ抜ける道で、大宮渓道から東坂に接続し、そこから東塔に惣堂分(主要伽藍)に向う山道です。
今回は大宮渓道から東坂への登りではなく逆ルート、つまり東坂から大宮渓道へと下るルートでみてみましょう。
まず、東坂の延命院跡と覚運廟(写真上)の中間付近に、登り方向から見て右側に北東に抜ける分岐点(写真上)があります。そこに入りますが、すぐに直進方向と右折方向の分岐点になります。そこを右折方向に曲がります。なお直進方向は東塔東谷の墓地となっています。
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東坂と悲田谷道の分岐点(平成21年(2009)8月14日、管理人撮影)
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比叡山東谷の覚運廟(平成21年(2009)8月14日、管理人撮影)
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悲田谷道(平成21年(2009)8月14日、管理人撮影)
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この悲田谷道は、約900mほどの道ですが、飯室回峯の行者道であるため、意外と急斜面で、かつ道は林のかなたに微かにみえるという程度のものですので、急斜面の林の中を歩いているような印象となっています。そのため直線距離にしてわずか900mほどにもかかわらず、登ると30分ほどかかります。
行者道らしく、道には墓としての五輪塔・石仏などが点在しており、林のため空もみえず、ただ墓と石仏だけが道を示しています。この時何故か『法顕伝』の「上に飛鳥なく、下に走獣なく、遍望極目、度る処を求めんと欲して則ち擬する所を知るなし。ただ死人の枯骨を以て標識となすのみ」というフレーズがぼんやりと頭をかすめましたが、まさに「ただ死人の墓を以て標識となすのみ」といったところでしょうか。
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悲田谷道(平成21年(2009)8月14日、管理人撮影)
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悲田谷道(平成21年(2009)8月14日、管理人撮影)
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悲田谷道(平成21年(2009)8月14日、管理人撮影)
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しばらく進むと林だけの道はとぎれ、林に囲まれながらも道らしきものが見えてきます。途中、階段もあり、進むのは楽になります。
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悲田谷道(平成21年(2009)8月14日、管理人撮影)
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悲田谷道(平成21年(2009)8月14日、管理人撮影)
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さらに進むと導水路のアーチがみえてきます。このアーチの下には小川が流れており、小川は先の大宮川に注ぎ込みます。ここを通過すると悲田谷道は大宮渓道の林道と交叉して終了します。このアーチは現在では使われておらず、今ではただ悲田谷道と大宮渓道の境をあらわすモニュメントの役割を果たしています。
大宮渓道と悲田谷道の合流地点から約1.7km下ると坂本の坂口にでます。つまり悲田谷道は坂本から東塔へ抜けるルートの一つであるということになります。この付近には衣掛岩があり、またかつては五別所の一つ神蔵寺がありました。
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悲田谷道の導水路のアーチ(平成21年(2009)8月14日、管理人撮影)
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大宮渓道からみた悲田谷道入口(平成21年(2009)8月14日、管理人撮影)。左側にみえる細道が悲田谷道。少しわかりにくいが、その奥が導水路のアーチ。
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大宮渓道の林道(平成21年(2009)8月14日、管理人撮影)
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[参考文献]
・武覚超『比叡山諸堂史の研究』(法蔵館、2008年3月)
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