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西塔橋(平成22年(2010)1月2日、管理人撮影)
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松尾坂(まつおざか)は、比叡山延暦寺西塔へ直接向う山道です。約3.2kmほどの行程です。
まず叡山電鉄叡山本線の八瀬比叡山口駅を下車すると、北側に西塔橋がみえます。その西塔橋を渡ると京福電鉄叡山ケーブルカーのケーブル八瀬駅がみえますが、その左側(北)の細い道に行きます。
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京福電鉄叡山ケーブルカーのケーブル八瀬駅(平成22年(2010)1月2日、管理人撮影)
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松尾坂への入口(平成22年(2010)1月2日、管理人撮影)
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アスファルトの道を150mほど歩くと、上写真のような分岐点に出ます。その分岐点を左側に行き、しばらくなだらかな山道を東北に行くと、小さな橋があり、渡ってすぐのところの左側にフェンスがみえてきます。このフェンス内は中学校の敷地内です。フェンスを越えて100mほど行くと今度はNTTdocomoの電波塔がみえます。
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松尾坂(平成22年(2010)1月2日、管理人撮影)
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松尾坂からみた山々(平成22年(2010)1月2日、管理人撮影)
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松尾坂にかかる小橋(平成22年(2010)1月2日、管理人撮影)
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松尾坂(平成22年(2010)1月2日、管理人撮影)。左側のフェンス内は中学校の敷地。
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西塔橋から700mほどのところで、山道は東側に曲がり、ここから蛇行する急な山道になります。私が行った時期は、正月頃でしたので、落葉が散乱し、多いところでは20cm以上も堆積していました。そのため下りは滑ったり転んだりで、意外な難所でした。
西塔駅から歩くこと30分ほどで、浄刹結界趾の石碑につきます。この浄刹結界は、比叡山の境界線で、かつてはここから先には女人が入ることが禁じられていました。この浄刹結界趾の石碑は、裏面の碑銘によると、大正10年(1921)3月に建てられたものです。
ここから先は若干傾斜はゆるやかにはなりますが、蛇行する道は続きます。
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松尾坂(平成22年(2010)1月2日、管理人撮影)
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松尾坂の浄刹結界趾石碑(平成22年(2010)1月2日、管理人撮影)
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松尾坂(平成22年(2010)1月2日、管理人撮影)
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途中、石地蔵が鎮座しています。この石地蔵は、聖徳太子の旧跡といわれる斧堂の跡地で、斧堂はかつて和労堂と称され、桁行1間、梁間1間の建造物でした。和労堂は、比叡山の山道の各所にあり、おそらくは山道で疲れた体を休めるための休憩施設であったとみられます。現在では建造物は残っておらず、太子自刻との伝承がある石地蔵だけが残っています。
なおこの石地蔵の付近で道は二つに分岐していますが、10mほど先で合流するので、どちらを進んでも同じです。
石地蔵からしばらく歩くと、道は蛇行しなくなり、直線の細い道となります。途中石垣が組まれた背の低い円形状の構造物がありますが、経塚なのか墓所なのか、わかりません。なおここを訪れた日の前日・前々日は日本列島が大荒れの天気でしたので、比叡山も雪が降り積もり、当日、雪の中を進むことになりました。
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松尾坂の石地蔵(平成22年(2010)1月2日、管理人撮影)
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松尾坂(平成22年(2010)1月2日、管理人撮影)
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浄刹結界趾の石碑から約30分ほどで、急な山道となり、その頂上の屋根の北側には西塔南尾谷の墓地が連なっており、多くの卵塔を見ることができます。ここを西山の峠といい、西塔橋から約2km歩いたことになります。ここを急な下り坂を歩くと林道にでます。
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西山の峠の頂上(平成22年(2010)1月2日、管理人撮影)。ここの東西方向(写真左右)が西山の峠、北側(写真奥側)は墓地で、墓地には卵塔が連なっている。
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西山の峠(平成22年(2010)1月2日、管理人撮影)
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松尾坂(西山の峠)と林道の境界(平成22年(2010)1月2日、管理人撮影)。写真手前側の小道が松尾坂。左側から大きく曲がっている道が林道。
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ここから林道を400mほど歩くと奥比叡ドライブウェイに着きます。この一帯は南尾谷と呼ばれ、比叡山十六谷の一つで、西塔に属していました。かつては経蔵院(如法院)・鎮守(三十番神)・西学坊(無量院)・宝園院(円通院)・清浄院(本住院)・桐住院(中正院)・浄広院・善住院・上乗院・宝聚院・斧堂といった堂宇が軒を連ね、比叡山焼き討ち後、江戸時代に多くの堂宇が再建されましたが、現在ではすべて廃絶しました。
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松尾坂の林道(平成22年(2010)1月2日、管理人撮影)
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松尾坂からみた麓(平成22年(2010)1月2日、管理人撮影)
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西山の峠から400mほどで三叉路に着きます。この三叉路を左折すると奥比叡ドライブウェイにて林道が寸断されます。奥比叡ドライブウェイを横断してすぐのところに西塔駐車場があり、ここから釈迦堂をはじめとした西塔の惣堂分に行くことができます。ここが松尾坂に続く林道の終着点です。
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松尾坂の分岐点(平成22年(2010)1月2日、管理人撮影)
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松尾坂の終着点である奥比叡ドライブウェイ(平成22年(2010)1月2日、管理人撮影)
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ちなみに松尾坂に続く林道の終着点の手前にあたる三叉路を、そのまま直進すると雲母坂に出ることができます。
途中石碑がいくつか見えますが、約500mほど進むと、「鎮護国家」と陰刻された石碑に着きます。この石碑は裏の碑銘によると、昭和5年(1930)に建てられたもので、この奥には東塔西谷の墓所があります。この石碑は不変随縁而二門の旧跡に建てられたといわれています。なおここは京都一周トレイルの「京都5」の標識にあたります。
この石碑からしばらく進むと山王院に到達します。
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雲母坂への山道(平成22年(2010)1月2日、管理人撮影)
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雲母坂への山道(平成22年(2010)1月2日、管理人撮影)
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鎮護国家の碑(平成22年(2010)1月2日、管理人撮影)
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[参考文献]
・武覚超『比叡山諸堂史の研究』(法蔵館、2008年3月)
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